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季節の変化に想いを馳せる

2020.10.24

「私は季節の変化と共に様々な記憶が蘇る。」

こんな体験をしている人は少なからずいるのではないだろうか。なぜだろうと考えてみるが明確な理由もわからないまま、日常が過ぎ去っていってしまう。

 

気温の変化を感じると共に時間の移り変わりを感じることが増えてきた。街中の景色が少しづつ変わっていき、年末を迎える。歳を重ねるごとに、そんな1年があっという間に過ぎ去っていくようになる。

 

 

季節の変わり目にふと思うことがある。

 

人は生きていると全く同じ1日は無いのではないか。

毎日、朝会社に行って仕事をして、お昼ご飯を食べて、仕事を終える。予定の無い日はまっすぐと家に帰ったり、趣味のための時間に費やすのだろう。友人や同僚と予定のある日はきっと終電近くまで飲んで仕事の話や恋愛話に花を咲かせるのだろう。家へ帰れば、ベッドへ入り眠りにつき、新たな1日を迎える。

 

学生ならが、朝学校へ行って、友達とたわいもない話をして、授業が終われば、部活やアルバイトへ行くのだろう。帰宅すれば温かいご飯を食べてお風呂へ入り、今時ならスマホを弄りながらベッドへ入るのだろう。

 

きっと、同じ1日に感じていても、会う人や話すことが違ったり、きっと気温や季節、その時感じた匂い、そしてその時々の感情は様々だ。

しかし、時間軸を取り払ってしまえば、季節で感じる街の香りやその温度感は長い目で見れば変わっていないことが多く、どこか懐かしさと共に昔の記憶を蘇らせる。ふと、日々の生活の足をとめてこう感じる。

 

秋が来れば、次は冬がやってくる。

金木犀の香りをほのかに感じ、半袖で過ごしていると肌寒さを感じ厚手の服に袖を通す。すると、少しづつ日が暮れるのが早くなって、夜の時間が長くなる。街のネオンが輝く時間が長くなり、少しばかり賑やかになっていく。

 

学生時代に部活をしていたのだが、練習時間が短くなって、どこか得していた気分になったワクワク感を思い出すこともある。アルバイトをしていた時の、居酒屋の季節のメニューが登場し、温かいお酒をよく運んだのを思い出すこともある。社会人になり、仕事に慣れてきた頃に上司に怒られ先輩に励まされた記憶をも思い出すこともある。

 

例えば、その時代に着ていた部屋着やパジャマでさえも思い出となって、思い返すことがある。お古の体操服を着ていた時もあれば、友達にもらったルームウェアをくたくたになるまで着ていたり。大好きな彼と過ごすために、ルームウェアで背伸びをしてみたり。

 

それらを思い出すと、過ぎ去った過去を憂うわけでは無いが、どこか物寂しい気持ちになるのだ。

 

きっと季節の変化で感じる、小さく感じる環境の変化にその時と同じような過去の自分を照らし合わせて、記憶を蘇らせているのではないだろうか。過去の想い出にひたりながら、これから迎える新たな時間に想いを馳せるのだ。さあ、明日はどんな1日になるのだろうか。今年の冬はどんな過ごし方をして、誰と出会い、誰とどのように過ごすのだろうか。