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ワンマイルウェアの魅せるファッションとしての可能性
2018.09.11
日本ではルームウェアと言われることの多いワンマイルウェア。英字の通りに欧米の文化から生まれた言葉なのは間違いないだろう。
そんなワンマイルウェアの存在を再確認するのと同時に、若年層を中心にアウターファッションのアイテムとして魅了するワンマイルウェアについて考えてみたい。
ワンマイル=1mile
その名の通り、ワンマイルウェアの”ワンマイル”は「家から1マイル(約1.6キロ)ぐらいの範囲で着る服」という意味がある。距離を測る単位がマイルのあたりから、欧米の香りを感じさせてくれる。家で着る服と外で着る服(=アウター)の中間的な存在を指していると言えるだろう。
部屋着や寝巻とも違い、外着(アウター)とも違う存在だからこそ、そんな曖昧なフレーズで存在付けてしまうのだから、なおさら面白い。
これを日本の文化に落とし込んだとしたら、「ちょっとコンビニに行くときの装い」や「休みの日に近くのスーパーに買い物に行くときの服」、そんな言葉が当てはまるのではないだろうか。
ワンマイルウェアの魅せるファッション性
そんなワンマイルウェアも昨今では若者たちを中心に、アウターファッションの一部として取り入れられており、流行ともなっている。
「オシャレの為の服ではないのになぜ?」というフレーズが浮かぶのも無理はないだろう。
若者たちの着眼点は「ラフさ」というところにあるのではないだろうか。
近年、ランウェイやコレクションでのトレンドはもっぱらストリートだ。ストリートの持つ魅力の一つに「ラフさ」や「自由さ」というのがあるだろう。
スタイルの中心はストレスフリーなビックシルエットで、素材も伸縮性に優れたジャージ素材やストレッチ素材を採用しているアイテムも多い。ウエストにはゴムが入っていて、ベルトやノンストレッチといった締め付け感を一切感じさせない。足元も今までの発想からは想像のつかない軽装感をまとっている。
海外のアーティストや著名人がジムに行くときのラフな格好の際にワンマイルウェアを取り入れていたり、海外旅行時の飛行機内のファッションのラフさを取り入れていたりと、その流行は世界規模だ。
シチュエーションに限った流行ではない。
夏の暑い季節に肌触りが良く、肌接触の少ない素材は、この上ない着心地をもたらしてくれる。トップスに限らず、ボトムスも同様だ。冬にはTシャツにデニムとったラフなスタイルの中に、スウェットやフ―ディーといったアウターではなく、ネル素材のワンマイルウェアのシャツを羽織ったり、カシミアやウール素材のガウンを羽織って楽しむスタイルも見られる。
つまり、理にかなったファッションアイテムをチョイスしているともいえる。
「オシャレは我慢」といった今までのファッションのイデオロギーを崩壊させていると言ってもいいだろう。若者たちの近代ファッションへの反旗と言っても過言ではない。
ワンマイルウェアを楽しむ時代が、今まさに目の間に来ている。